動きのある絵を描きたいと思った時、意識する部分がどこなのかと考えたことはありませんか?
躍動感や説得力のある絵というのは、画力があるから描けるかと言われればそうではありません。
意外にも、絵を描く上で意識するとは思わないような場所で躍動感を生み出す場合があります。
それは、重力や重さによって生じる服のシワや、重さを体現しているかのような体の動きであったりと自分が意識して描いている場所意外の作画によって生まれる表現であることが多いです。
今回は、そんな躍動感を出すために意識する重さや重力の表現についての解説となります。
絵の中で言う重さと重力って何?
絵のような平面上の世界に物理的な重さや重力は存在しないためここで言う重さや重力とは、
描写対象を違和感なくその場に存在させる技法のようなもののことです。
重さ=自然体
重さの表現とはイラストや絵を描くためのテクニックの1つです。

あくまで視覚的に重さや重力を表現するだけで
実際に質量があるわけじゃないからね
例えば、重いものを地面に置いた時の地面の凹み具合も凹むべくして凹んでいる自然現象と言えます。
描いたものがその場その位置で不自然ではないと客観的に感じられる状態が絵の世界で言う重力や重さの表現です。
描く世界観が宇宙のような無重力でもない限り、重力や重さは平等に全ての物に存在することになります。
人の体勢1つを取っても自然体を意識をするだけで絵の中に重力や重さを一枚で表現することが可能ですので、重さを表現したいと考えている人ほど物を自然体で描くことに注力しましょう。
重さと重力の描き方とは?
目に見えない重力等を描く時に大切なことは、その見えないものが周りに与える影響を考えることです。
今回は重さと重力の表現になるので、重さによって下へ向かおうとする物体の動きから考えていくのがいいでしょう。
まず重さの表現ですが、100tと書かれた重りを白いキャンパスに描いたとします。
これだけでは視覚的に重さを表現出来たとは言い難いので、ここに上記した影響を与える動きというのを足していきましょう。
100tもの重りが地面に置いてあったらどこに動きが生まれるか想像できますでしょうか?
平らな地面に100tを置いたのなら接地面に動きが生まれます。
この場合の動きとは地面に重りがめり込んだり、地面がひび割れたりという表現が当てはまるでしょう。
これだけでも重さは表現出来ますが、更に上に持ち上げようとしている人を描き足したりすれば一層動きによって重さを表現することが可能となります。
次に重力の表現です。
下へ向かう力をキャラクターの体で表現する場合で、先程のような重いものを特に持っていない時でも常に体は重力を感じ取って動きます。
重力によって起こる体の微妙な動きを抑えていくことが大切です。
例えば、上半身だけ脱力した人の絵を描いたとしましょう。
重力が無ければ上半身を脱力しても体はそのままフワフワ浮かぶような状態で留まりますが、上半身の重さと下に向かう重力によって体は前のめりに折れ曲がるはずです。
重力がある以上全ての物は下に向かいます。
ただ、それでも実際にはずっと沈んでいくという事態には陥りません。
下に向かう力とは逆に上に対抗する力がずっと沈むという事態を避けてくれるためです。
この上に向かう力は筋力であったり浮力であったり下へ対する上への抵抗力になります。
今回の上半身が折れ曲がっている表現では、下半身が上半身をそれ以上沈ませないように上への抵抗力となってくれています。
先程の重さの表現もそうですが、重力を表現するためには下への力と上の抵抗力の比率を考えることが重要になりますので覚えておきましょう。
また実際に体を動かしてみて重さを感じ取ることも勉強になります。
腕を前に突き出した時に徐々に疲れて下へ降ろしたくはなりませんか?
これは上への抵抗力(この場合は筋力が上への抵抗力)が弱まり重力に逆らえなくなっている状態のためです。
実際に重力を感じて絵に投影するだけでも表現力に影響するので試して見てください。
その他にポーズから重力を表現する場合に役立つ物としてデッサン人形が役に立つ場合もありますので、気になる方はコチラの記事もオススメです。
重さと重力の表現は必ず守るもの?
世界観や設定によっては必ず守らなければならないわけではありません。
記事の初めに記載してるように、舞台が宇宙であったり重さよりも軽さを表現したい絵の時は浮遊感を優先して表現することも大切になります。

逆にこの場合は重力が感じられないような表現をしなきゃならないから
それはそれで難しいんだけどね…
常に重さや重力を意識しそれに対する抵抗の意識を欠かさなければ絵に現実味を出せるため、表現として必要なのは変わりませんが、自分が決めた世界観にそぐわないのであれば無理して絵に組み込む必要はないでしょう。
まとめ
重力と重さは描けるようになると絵に現実味を出す時に役立ちます。
目に見えない分いざ描こうとしてもそうそう上手くは描けないかもしれません。
自然な表現に近付けたイラストや絵を描きたい人であれば身に付けておきたいテクニックの1つとして紹介しました。
また、練習方法としてはイラストの模写よりかは現物を写し取る練習をすると重さや重力を感じやすく効果的です。
理想はデッサンを行う事ですが、必要な道具も多いので、写真の模写から始めてみることをオススメします。
メ夢
仕事と趣味で絵を描いています。
一時期アニメーターをしていたこともあり、実名ですがウィキペディアの方にも少しだけ載ることが叶いました。
これから絵を描き始める人や少し躓いている方へ役立つサイトになるよう日々記事を更新中です。
どんなに下手でも続けていれば私程度の画力は有することができますので、画力向上の道しるべとして当ブログをお使いください。