手に物を掴ませたり何かを運ばせたりする表現というのはただポーズをさせる絵よりも難易度が上がります。
物の構造によって触れる手の形を変えなければならないのも難しくさせる理由の1つでしょう。
普段毎日のように目にしている手ですが、個人的に人体を描く上でかなり難しい部類のパーツに入ります。
描き始めの頃に理想の手の形が描けず苛立ちを覚えるのは案外避けて通れないのかも知れません。
今回はそんな苦戦しがちなパーツである手で物に触れている状態の絵を描こうと試みている方々向けに、描くための必要なコツや情報を中心に紹介していきます。
添える、掴む、握る、摘むの違いとは?
物に触れた手の形にもある程度の決まりがあります。
その決まりさえ抑えておけば手を描く際に困ることはないのですが、決まりの形をスムーズに描けるようになるまではどのような手の形にも苦戦するものだと思っておきましょう。
副題にもあるとおり、物が手に触れる時の形で抑えておきたい決まりの形というのが添える、掴む、握る、摘むです。

それぞれ形が異なる分、安定して描けるまで苦労しそうね
この4つが描けるようになると他の形にも応用が効くでしょう。
1つ目の添えるは、物を掴まず接触している状態になりますので例えるなら頬に手を当てている表現のような優しい表現を表すのに向いています。

2つ目の掴むは、掌をめいっぱい使って手繰り寄せるような動作を絵にするところから柔らかい表現よりは力強い表現に向いています。

3つ目の握るは、上記の掴むと似ています。
掴んだ上でさらに力を加えて潰すような表現になるので掴むよりも力強い表現に向いています。

4つ目の摘むは、掴むよりも弱い表現になります。
繊細さを表現する場面では添えるに次いでこの手の形の表現も向いているでしょう。


どうしても手が描けなくて悩んでる方は
手形のデッサン人形を参考にしてみるのもオススメです!
気になる方は以下の記事もご覧になってみて下さい
物の形状によって変わる手の形
毎回同じ物を持たせるのならある程度手の形は固定されますが、一貫して同じものしか持たないキャラクターはあんまりいないでしょう。
なので、形状による手の形の変化を知っておくと絵を描く上でとても役立ちます。
丸みのある物を持つ場合は掌で包み込む状態になるので丸みに沿ってカーブを表現する必要があります。

不自然に出っ張りでもない限りは丸みに沿って掌もカーブさせましょう。
上記の掴むや握るよりかは添えるを意識してみると描きやすいです。
四角形の物は角張と持つ角度によっては手と物の間に空間が出来ることがあります。

無理やり持とうとすれば隙間を作らないように四角形に沿って持つことも可能ですが、自然体で持つ場合は指の第二関節辺りと接地面の間に空間が出来やすいと思います。
ので、作画する場合は四角に沿うよりも完璧に沿わさないで少し膨らみを持たせると自然体に見せやすいです。
三角形の物はあまり描くことが無いかもしれませんが、持ち方によっては四角形よりも隙間が出来やすくもあり出来にくくもある形です。

三角形の場合は摘むような持ち方が上の2つより表現しやすいでしょう。
手にも表情がある?力加減の表現法
キャラクターの感情に表現力を持たせる上でまず始めに顔の表情をどうにかしようとするのが一般的だと思いますが、どうでしょうか?
実際この考え方は間違ってはないのですが、感情をより一層伝える手段として別の部位でも表現する方法があります。
体全体で表現出来るのが理想ですが、手を感情表現のパーツに組み込むだけでも効果があります。

手だけで喜怒哀楽を表現するデッサンの授業もあったりしますからね
例えば怒りを表現したいとして、顔の表情は眉間に皺が寄り大きく口を開けて叫んでる様子だった場合、手の形は強く握り締めた拳、何か持っている場合はその持ち物を強く握り締める表現が望ましいでしょう。

握り締めた手を描く場合は絵のタッチが大事になってきます。
強く握り締めた時にシワの集まる部分を意識してシワに沿うような線のストロークを入れると それらしく見えます。
また線画自体をトゲトゲしい線で描くだけでも震えや力強さの表現に繋がります。
大雑把なイメージで伝えるならば、漫画の叫ぶようなセリフの時に使われるトゲトゲした枠と言ったところでしょうか。
逆に悲しみを表現するときは脱力と儚さをイメージするといいでしょう。

儚さや脱力を簡単に表現するには、色を薄く線は細くを意識して描いてみてください。
まとめ
今回は初心者の難関である手について語らせていただきました。
毎日のように目にする手ですが、いざ描くとなるとその構造は複雑でプロの方でも苦戦するパーツなのは間違いありません。
また、普段目にするということは絵を描かない人が見ても形に違和感を感じやすいパーツということです。
キャラクターを描いて手だけを褒められるということはあまりありませんが、手だけを形がおかしいと言われてしまうことは十分に有り得ることです。
普通のパーツを普通に描くというのが絵を描く上で案外一番難しい技術なのかもしれませんが、続けていれば自ずと描けるようになります。
少なくとも筆者の画力程度にはなれるので、地道にやっていきましょう。
メ夢
仕事と趣味で絵を描いています。
一時期アニメーターをしていたこともあり、実名ですがウィキペディアの方にも少しだけ載ることが叶いました。
これから絵を描き始める人や少し躓いている方へ役立つサイトになるよう日々記事を更新中です。
どんなに下手でも続けていれば私程度の画力は有することができますので、画力向上の道しるべとして当ブログをお使いください。