絵、特にイラストを描く上で塗りの技術は必須となる技術ですが、ただ闇雲に塗っただけでは人の目に止まる絵には中々なりません。
配色の組み合わせは人それぞれで、これがいいという答えを教えることは難しいですが、ひと工夫するだけで見栄えが変わるテクニックはいくつか存在します。
今回は初心者の方でも理解しやすいよう暖色と寒色を用いた空気遠近法の有用性を説明していきます。
空気遠近法とは何か?透視図法との違い
遠近法には消失点からなる透視図法の他に、空気の色やぼかし具合で空間に奥行きを持たせる空気遠近法が存在します。
透視図法が線で表現するものだとすれば、空気遠近法は色で表現するものと捉えてください。
手前に存在する物と奥に存在する物との間には空気の層が存在します。

物と物との間が狭ければ空気の層も薄くなるイメージを持ちましょう。
空気の層が薄ければ近くで見ても色味に変化はありません。
しかしこの層が分厚くなる程(物と物との間が広がる程)遠くに見える物体が霞んでいくのです。

空気中の塵や蒸気は目で観測出来ないほど細かい光を反射しています。
ただ、自分が近く見えるなと思う程度の距離感ではそれらは全く観測出来ません。
しかし、遠くに視界を広げればより多くの塵や蒸気の反射が目に届くことになって目が色として認識し出します。
山や高いところから遠くを見たことがある人は分かるかもしれませんが、遠景が霞んで見えるのはその細かい光の反射を色として認識出来ているからなのです。

物を直接見てるんじゃなくて、空気の色を間に挟んで物を見てるってイメージね
これらを絵や写真に当てはめた表現方法が空気遠近法と呼ばれるものになります。
空気遠近法の前に、通常の遠近法についてまず知りたいという方はコチラの記事も読んでみてください。
赤と青?暖色と寒色の違い

では、空気遠近法を表現するには一体どのポイントを抑えればいいのでしょうか?
それには色が視覚に与える効果を知る必要があります。
始めのうちは大雑把に赤と青の2色だけ意識しましょう。
まず赤色ですが、暖色系と呼ばれる色の代表色になります。
赤色には警告のイメージがなんとなくありませんでしょうか?
わかりやすいのは赤信号です。
赤が危険を知らせるための色というわけではありませんが赤色は手前に迫ってくるような錯覚を人に与えてくれます。
手前に迫ってくるということは絵のどこにこの色を使えばいいのかなんとなく想像ができませんか?

絵の中で手前に来ている部分に使う、もしくは目立たせたい場所に使うのがオススメです。

画面上で目立たせたい部分があれば
赤みで安直に強調してしまうのも手法の一つですね
そして青色です。寒色系の代表色であるこの色は迫る赤に対して退いていくようなイメージの色です。
赤よりも安心感を得やすく、赤よりもマイナスなイメージを与えます。

マイナスや安心感等、強調されるよりかは引っ込んでいくようなこの色は目立たないこと、奥にあることで意味を成す場所に使うのがオススメの色になります。

山が青色で覆われたから、確かに引っ込んだ感じがするわね
また、色に関しての見識を深めたい方は水彩画を根本から学んでデジタルイラストに応用するという方法もありますので、コチラの記事の一読もオススメです。
絵のどこに活かすのか?
上述の通り赤は目立たせたい場所、青は目立たないことで意味を成す場所に使うのがベストと紹介しました。
手前に来ている部分、目立たせたい場所。
キャラクターで言うなら顔に暖色系の色を使うことで人の視線を誘導しやすくなるでしょう。
※キャラクターの顔がメインになっている場合の話です。
上文のように赤文字だと視線が誘導されたと思います。

逆に青のような寒色はキャラクターであれば、首下や後頭部のような回り込みを表現したい場所に使うのがいいでしょう。
筆者の独断と偏見ですが…
上文のように強調させたくない場所は青のような寒色で。
まとめ
初心者の方にも分かりやすいように筆者の意見を交えて説明させていただきました。
赤色と青色以外にも色の表現はたくさんあり、筆者自体もまだまだ未熟なため勉強の段階です。
寒色系と暖色系の使い道、空気遠近法がどのようなものなのか意識して取り組むことで絵の表現がより広がるでしょう。
初心者の方で絵の物取り無さを感じてる人も、案外この表現を取り入れるだけで大きく変化することも有り得ます。
是非取り組んでみてください。
メ夢
仕事と趣味で絵を描いています。
一時期アニメーターをしていたこともあり、実名ですがウィキペディアの方にも少しだけ載ることが叶いました。
これから絵を描き始める人や少し躓いている方へ役立つサイトになるよう日々記事を更新中です。
どんなに下手でも続けていれば私程度の画力は有することができますので、画力向上の道しるべとして当ブログをお使いください。