デジタルイラストを描く際に必ず必要になるペイントソフトには多くの種類がありますが、中でも無料で使用可能な上、そこらの有料ソフトと並ぶ程高性能なソフトにkritaと呼ばれるソフトがあることはご存知でしょうか?
ペイントソフトをまだ使った事がないという方から、ベテランの方まで幅広く使えるソフトですが、イラスト界隈でもまだまだ知っている人の少ないマイナーなソフトのためPhotoshopやクリップスタジオに比べると情報が少ないです。
今回からは、ペイントソフトを使ったことの無い人でも分かるようにkritaの操作方法を噛み砕いて幾つかの記事に渡り説明していきます。
kritaのダウンロード手順
早速ですが、kritaのダウンロードがまだの方は以下のリンクよりダウンロード及びインストールを行いましょう。
ダウンロード後にファイルを開き、セットアップを行います。
始めに以下の画面が出てきますので、言語はEnglishのままOKをクリックしましょう。

次の画面も特に気にせずnextをクリックで問題ないです。

次の画面はkritaの保存場所になりますが、問題が無ければそのままでnextをクリックしましょう。

次の画面ではチェックボックスが出てきますが、shell Integrationのみチェック操作が可能です。
kritaにはデータを保存した際に~.kraという拡張子が使われますが、この~.kraファイルをサムネイル画像として表示可能にしてくれるのがshell Integrationになります。
チェックは入れておいて問題ないのでnextをクリックしましょう。

次の画面では使用上の同意を求められますが、同意しなければ使えないので大人しくI Agreeをクリックしましょう。

スタートメニューのショートカット名を変更するか聞かれますが、そのままで問題ないのでnextをクリックしましょう。

デスクトップにアイコンを作成するか聞かれますので、問題が無ければチェックはそのままでinstallをクリックしましょう。

インストールが完了しましたらnextをクリックしましょう。

finishをクリックでインストール完了です。
インストール後は勝手に立ち上がると思いますが、立ち上がらない場合はデスクトップのkritaアイコンから起動しましょう。

krita基本操作編
画面説明
無事起動に成功しましたら、以下の黒い画面が立ち上がります。
ペイントソフトを触ったことが無い人には何が何だか分からないと思いますので、今回は基本操作までを順に説明していきましょう。
基本的に使うのは色で囲った部分ですが、それぞれに細かな特徴があり、それら全てを把握するのは時間も労力も掛かります。
最初は大まかに何をするスペースなのかを押さえらえていれば大丈夫です。
また、最初からより詳しい使い方が知りたいという方はコチラのkrita参考書でスキルアップするのもオススメです。
メニュー操作
それでは一番上の青枠部分から見ていきましょう。
青枠部分を拡大すると以下のようなメニューの一覧になっています。
ショートカットやメイン画面上で処理できない操作に関してはこの一覧の中から操作していくことになりますが、最初はファイル(F)の操作が出来れば作業を開始できますのでファイル(F)内でよく使うものを見ていきます。
ファイル(F)内でよく使うものは以下の6点です。
新しいドキュメント
自分で縦横幅の数値を指定し、メイン画面に新しいキャンパスを表示させます。
新しく作業を開始する場合はここからキャンパスを開くことになります。
開く
pc内に保存されているkritaデータや画像データを読み込みキャンパスに表示します。
製作途中のものや、単に画像を読み込みたい時等はここから開きましょう。
最近のドキュメントを開く
最近編集していた画像や、kritaのデータを履歴から読み込みます。
一々pc内から探すのが面倒な場合は最近のドキュメントを開くから探してしまうのが手っ取り早いでしょう。
保存
作業途中のものや完成したものを保存する際に使用します。
名前を付けて保存
新規作成してまだ名前を付けていないものを保存するときや、同じデータを名前だけ変えて複製したい場合等は名前を付けて保存を使いましょう。
エクスポート
完成したデータを出力する際に使います。
どのような拡張子で保存するかを決めてjpgやpng、その他の使いたい拡張子で保存しましょう。
オプション操作
次に緑枠部分を見ていきましょう。
緑枠部分を拡大すると以下のようになっています。

ブラシや色に関するオプション的な操作をする場所です。
直接アイコンを押して使うよりもショートカットキーを覚えた方が早いですが、最初の内はアイコンを押して操作すると勝手がわかるかと思います。
よく使うものに番号を振ってありますので順番に見ていきましょう。
①ひとつ戻る&ひとつ進む
間違えて描いた線や色を消したい場合や、消したものを元に戻したい場合はこの矢印を押しましょう。
ただし、消せる回数や、やり直せる回数には限度があるので注意が必要です。
②色変え
登録しておいた色に切り替えることが出来ます。
この場合は黒と白を切り替えて塗ることが可能です。
③消しゴム
ここを押すと消せる状態と描ける状態の切り替えが可能です。
使っているブラシによって消え方も変わりますので注意しましょう。
④不透明度調整
簡単に言えば塗りたい色の薄い状態と濃い状態をパーセントで調整できます。
100%で一番濃い状態、0%で無色透明になります。
⑤ブラシサイズ調整
ブラシのサイズを調整できます。
あまり大きくしすぎると高性能なパソコンでない限り止まってしまう原因になるので注意しましょう。
ツール操作
次は赤枠部分を見ていきましょう。
赤枠部分を拡大すると以下のようにアイコンがびっしりと並んでいるのがわかるかと思います。
こちらも最初はよく使うものを厳選して覚えおけば大丈夫です。

比較的使うことになるアイコンに番号を赤丸で囲ってあります。
番号順に見ていきましょう。
①フリーハンドブラシツール
キャンパスに自由な線を描いたり、好きな場所に色を塗ったりしたい場合はこのアイコンを選択しておく必要があります。
絵を描く上では最もよく使うツールになるでしょう。
②レイヤーまたは選択範囲を変形
早速聞きなれない単語が並んでるかもしれませんが、簡単に言うと描いてある絵や画像の大きさをキャンパス内で自由に変形させることが出来るツールです。
③色採取ツール
一般的にはスポイトと呼ばれるツールで、キャンパス内で既に塗ってある色をこのツールでクリックするとクリックした部分の色をブラシに反映させることが可能です。
ブラシツールと同じく使う頻度が高いツールになります。
④塗りつぶしツール
一般的にはバケツと呼ばれるツールで、指定した範囲や空白を同じ色で一気に塗りたい場合に使います。
⑤フリーハンド選択ツール
マウスやペンタブでなぞった範囲を選択できます。
形に制限がないので、複雑な形を選択したい場合は特に有効です。
⑥倍率変更ツール
キャンパスを拡大して細かい部分まで見やすくしたり、縮小して全体の形を確認したりと虫眼鏡のような働きをするツールです。
⑦パンツール
キャンパスを描きやすい位置に調整する際に使用します。
手元で描きやすい位置に紙をずらす感覚と言えばわかりやすいでしょうか?
拡張色選択操作
次に黄色枠を見てみましょう。
kritaでは拡張色選択と呼ばれていますが、カラーサークルとも呼ばれます。
基本的にはここから出したい色を探すことになり、アナログ画で言うところの絵具の役割を果たすエリアです。
選んだ色から更に3パターンのカラーグラデーションで候補を出してくれるので、自分の考えていなかった色合いも発見しやすいかもしれません。
画像で言うとカラーサークルの下にある三本のバーがグラデーションで提示された色の候補になります。
カラーサークル自体の操作は欲しい色の箇所をクリックするだけなので別段難しくはありません。
レイヤーパレット操作
デジタル作業で最も重要になるのがこのレイヤー機能です。
もっとも重要な上、操作も意味を理解していないと難しいため、ペイントソフトを使うにあたり初心者が一番挫折する機能でもあります。

デジタルイラストは何枚もの透明な板を重ねていき、上からその板を見たとき最終的に一枚の絵が完成しているというような感覚なのですが、その重ねていく透明な板一枚一枚のことをレイヤーと呼びます。
レイヤーについてはコチラの記事を合わせて読むと分かりやすいかもしれません。
レイヤーの醍醐味として、選択しているレイヤー内に特殊効果を持たせることが可能です。
この特殊効果を上手く利用することで、効率のいい作業が出来るのでよく使われるレイヤー効果を覚えておきましょう。
通常
レイヤーの基本的な状態で、通常状態のレイヤーに対して効果のあるレイヤーを重ねていくイメージです。
乗算
乗算は下のレイヤーの色を純粋に濃くした色を上のレイヤーに塗りたい時に使うイメージです。
オーバーレイ
下のレイヤーの色に鮮明さが欲しいときに使うイメージです。
尚、レイヤーに関しては文字で読むよりも実際に使ってどんな色合いの変化が起きるのかを実際に確かめてみるのが良いでしょう。
ブラシパレット操作
次にピンク枠の説明になります。

ピンク枠内ではブラシの種類の切り替えを行うことが出来ます。
kritaでは最初から大量のブラシセットが用意されているため幅広い塗が可能ですが、用途を見極めて使わなければただの汚い絵になってしまいます。
ブラシの多さに惑わされず自分が良く使うブラシを3つ4つ厳選して使うのが良いでしょう。
キャンバス
最後に白枠部分になります。


冒頭で説明したファイル内新規ドキュメント作成より作ったキャンバスはこの白枠部分に表示されます。
すべてのレイヤー効果やブラシの描写はこのキャンバス内で完結します。
キャンバス外にも描写の判定はありますが、画面上に写り保存の対象となるのはキャンバス内に描いてあるものだけなので注意しましょう。
作成途中でキャンバスの大きさを変更した場合でも、最終的に画像として保存できるのはキャンバス内だけになります。
まとめ
今回はkritaの基本操作について最低限押さえておきたいところを紹介しました。
実際にはもっと効率よく作業するためにショートカットを多用していくことになるのですが、今回は割愛とさせていただきました。
初心者の方にとっての鬼門はやはりレイヤー枠ですが、自分のよく使う機能に絞って使うことで効率よく覚えていけるかと思います。
少なくとも上記の点を意識しておけば初期操作は何となく出来るかと思います。
次回からは部分的に掘り下げてショートカットも交えた応用を紹介していきますので本格的にkritaをマスターしていきましょう。
また、より詳しいkritaの活用方法を知りたい方は当ブログでオススメしている以下のkrita参考書を読んでみると面白いかもしれません。
メ夢
仕事と趣味で絵を描いています。
一時期アニメーターをしていたこともあり、実名ですがウィキペディアの方にも少しだけ載ることが叶いました。
これから絵を描き始める人や少し躓いている方へ役立つサイトになるよう日々記事を更新中です。
どんなに下手でも続けていれば私程度の画力は有することができますので、画力向上の道しるべとして当ブログをお使いください。