絵の描き出しはアタリと呼ばれる雑な形の絵から始まり、ラフ画を完成させ、下描きを清書し、着彩に至るのがオーソドックスな流れです。
しかし、初心者の内は上手くアタリとラフ画の過程を突破出来ずに何時間もそこで足踏み状態に陥る事も多くあると思います。
そんな足踏み状態を打破するために今回紹介するのがボックス描きと呼ばれる技法です。
このボックス描きを上手く使いこなせれば描けなかった部分の形も把握しやすくなるでしょう。
経験を踏まえ、幾つかポイントを押さえて紹介させていただきます。
ボックス描きで変わること
ボックス描きは描きなれない物の形を箱のように単調な形で捉えることで描きやすくする技法ですが、この方法を使うことで平面の画面に対する見え方が大きく変わることになります。

どれだけ絵が上達しても描き始めは立体感のない白いキャンパスです。
奥行きも何も無い状態から形を作ることに苦労することの方が多いでしょう。
そんな真っ白なキャンパスの中だからこそシンプルで想像しやすい形の箱(立方体)は役に立ちます。
白い平面に空間を即座に生み出して奥行の把握を手助けしてくれるのです。
そのため、ボックス描きをするのとしないのとでは立体感を感覚的に把握出来るか出来ないかの違いが現われることになります。
絵のどこに利用する?
ボックス描きがどのようなもので、どんな変化をもたらすのかは理解出来ましたでしょうか?
それを踏まえてこのボックス描きは絵のどこに使うのかと言う話ですが、ここに使えという決まった答えは特にありません。

便利な分使い道がここって言う断定はできないのね
人体にも背景にも応用の効く手法がボックス描きの良いところです。
しかし、どこでもいいと言われても最初の内はピンと来ない人が多いと思います。
これは筆者の意見になりますが、実際に使う時は人体に多用することが多いです。



特に自分が描ける自信がないパーツやより細かい関節の表現をしたいパーツに使うことがあります。
指の関節を自分の思う方向に上手く曲げたいと思った時、1発で描こうとすると中々思い通りの方向へは曲がらなかったりすることがあるのですが、そういう時こそ立体を意識しやすいボックス描きが重宝する印象です。
やはり最初から指を描こうとするより、立方体で予め角度を把握出来ているのというのが大きい理由でしょう。
過信しすぎに注意しよう
立体を意識しやすくなるボックス描きですが、あまりボックス描きにだけ囚われてしまうといらない弊害が起きてしまうことも理解しておきましょう。
それは、全体的に角張った絵の完成する危険性があるということです。
これは本来の形をしっかり捉えられない段階(指だったら指の形、頭だったら頭の形)でボックス描きをした時に起こりがちの現象です。

形は最終的に自然なものにできるのが目標ですよ
立方体に意識が行き過ぎると本来丸くていい部分が四角よりになって不自然なものとなってしまいます。
ボックス描きとはあくまでも立体を意識しやすくするための補助技能です。
四角を並べて終わりではありません。

最初の内はしっかりした形に持っていくまでが難しいわね
立方体の補助を受けて正しい形をその中で完成させるまでがボックス描きという認識をしておきましょう。
まとめ
ボックス描きがそれ単体で意味を成すことはありません。
しっかりとしたパーツの形を覚えることでその真価を発揮する技能です。
しかし、まだ画力が身に付いていない段階から取り組むことで後付けでボックス描きを始めた人よりも扱い方に差が着きます。
差がつくと言うことはそれだけ説得力のある絵を描けるようになるということです。
現実的に有り得ないような角度で描かれている作品よりもボックス描きで立体を把握し現実的な角度を維持できている絵の方が自然と見栄えも良くなるでしょう。
始めのうちは扱いに苦戦するかもしれませんが、是非取り組んでみてください。

ボックス描きだけで形にし辛かったら、ピクスタで資料を見ながら当てはめるのもアリですよ

CLIP STUDIO PAINT EXの3Dモデルでボックス描きをさらに補助するのも描きやすいわね
メ夢
仕事と趣味で絵を描いています。
一時期アニメーターをしていたこともあり、実名ですがウィキペディアの方にも少しだけ載ることが叶いました。
これから絵を描き始める人や少し躓いている方へ役立つサイトになるよう日々記事を更新中です。
どんなに下手でも続けていれば私程度の画力は有することができますので、画力向上の道しるべとして当ブログをお使いください。