絵を描き続けていると作業がルーティン化し、効率よく進めることが出来るようになってくるものです。
しかし毎回同じ感覚で絵を描いていることで同じテイストの絵しか生み出せなくなる弊害も出てきます。
それらは絵を描く際に「手癖」と呼ばれることがあるのですが、下手に拗らせると上達が止まることがあるので注意が必要です。
今回はそんな自分の手癖を理解しどのように役立てるのか、どのような場面でデメリットになるのかに焦点を当てて説明していこうと思います。
手癖は個性に繋がる?
絵を描く際に、前に描いたものとは違うキャラクターを描いたつもりでも意識しなければ絵柄が大きく乖離することはあまりないでしょう。
何度も繰り返し描くことによって無意識的に出る手癖はそのまま絵柄に投影されがちです。

意図的に変えない限りは手癖は出てきやすいものってことですね

キャラクターの顔や体型等は特に手癖が出やすい部分です。
それらの手癖で描いたキャラクターは気付けば貴方にしか出せない絵柄、つまりは個性として身につくことが多いでしょう。
始めの内はまだ実感できないと思いますが、慣れ始めて描く手順がパターン化されてくると自ずと貴方にしか出せない絵柄がある事に気づくはずです。
手癖で描くメリットとデメリット
手癖で描くことにはメリットとデメリットが存在します。
メリットにはまず、描く速度の向上が挙げられます。
手癖とは無意識で体が覚えているものなので考える時間が省ける分1枚あたりに掛ける時間も短くなります。

確かに手の動くままに描けるのは時短になるわね
1枚に掛ける時間が少なくなるとより多くの作品を生み出せるため自然とアピールする機会も増えることになります。
例えば絵を投稿するなら2日で1枚上げる人よりも、1日で1枚上げる人の方が見られる回数は多くなりますし、絵を仕事にするならば1枚毎に得られる報酬も増えるでしょう。
そして次に、自分だけの絵柄を持つことにも繋がっていきます。
有名な絵師が自分の名前を公表せずに絵を上げるとその絵柄を見ただけで誰が描いたかなんとなく分かってしまうことはありませんか?
絵柄や個性とはゲームで例えるならオーダーメイドの装備品と言ったところでしょう。
しかし、そのオーダーメイドの装備品であるところの絵柄や個性(手癖)にはデメリットもあります。
全ての敵に通用する装備品ではないことを意識しましょう。
例えば、ワンピースのような絵柄で男キャラを描いて欲しいと言われても自分の絵柄がプリキュアよりだったのならその依頼が難しいことは想像できませんか?

手癖だけだと慣れない絵柄には苦戦してしまいますよ
手癖で描くことにはこのようにメリットとデメリットが存在することを覚えておいてください。
手癖を抑えることは必要?
手癖は便利な反面拗らせるとやっかいなものでもあります。
手癖で描かない方がいい所と、手癖で済ませても大丈夫な所を見分けられるようになるのが理想ですがそうそう完璧に出来る人も多くはないでしょう。
なのでどういったところに手癖を使うべきでは無いのかを予め押さえておく事が大事になります。
ポイントは「自然な表現をしたい場所には使わない」です。
自然な表現とは、現実的にそうなると決まっている部分のことで例としては既存キャラの二次創作や服のシワがそれに当てはまります。

既存キャラは絵柄が確立されている点が「そうなると決まっている部分」ですね

服のシワに焦点を当ててみましょう。
服のシワとは重力や関節の開閉による圧迫等で出来るため複雑なようである程度シワの入り方が決まっています。


決まっているのにも関わらず、不自然な場所に手癖でシワってこんな感じだろうと 描いてしまうのは初心者が陥りがちなタブーポイントです。
とは言っても見様見真似で抑えることが出来るほど手癖は素直ではありません。
オーダーメイドの装備品ではありますが、呪いの装備にもなり得ることを忘れないでおきましょう。 しかし、どれだけ抑えようとしても抑えられない人が一定数いるのも事実です。
そんな時は手癖の上書きをしてしまいましょう。
一朝一夕では上書き出来ないとは思いますがこちらの練習方法などがオススメです。


手癖を抑える補助としてデッサン人形を見て描くのもオススメです
デッサン人形で人体を参考にしながらであれば、何割かは手癖を抑える補助になってくれますよ
まとめ
今回は手癖の有用性について説明させていただきました。
手癖は味方にも敵にもなり得るものです。
個人の絵柄として役立たせるか、現実的な表現を重視して抑え込むかは判断に悩むでしょう。
しかし使い分けを自在に出来るようになれば一気に上達の軌道に乗り始めます。
少しでも意識して練習に取り組んでみてくださいね。


メ夢
仕事と趣味で絵を描いています。
一時期アニメーターをしていたこともあり、実名ですがウィキペディアの方にも少しだけ載ることが叶いました。
これから絵を描き始める人や少し躓いている方へ役立つサイトになるよう日々記事を更新中です。
どんなに下手でも続けていれば私程度の画力は有することができますので、画力向上の道しるべとして当ブログをお使いください。